ソーシャルリースの輪が広がりますように。
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ソーシャルリースの輪が広がりますように。

“もしも世界が100人の村だったら”の原文訳者として著名であり、ソーシャルリース活動に取り組まれている 中野 裕弓 さんにお話を伺いました。

― 輪を通じて世界中の人々が繋がることができる“社会を繋ぐ環”という意味の中野さんが作成された造語である、ソーシャルリース(Social Wreath) について教えてください。

アクションが一方通行ではないのが “ ソーシャルリース ” です。
例えば、お金があります、私は差し上げます、あなたはもらいます、というのは一方的であって、そこでは輪が広がりません。
ソーシャルリースは、何かをすることによって、それが、別の方の役に立つということを見える化する仕組みです。そうすることで、私はこの部分では出す側だけど、この部分では受け取り、助けてもらう側というのが同時進行します。

社会には、恵まれている人と、そうでない人の格差があります。世界銀行本部で働いていた時に、それが国別に顕著に見えました。日本は「お金持ちの国だから支援するべきでしょ」と言われて、受け取る側はただ経済的支援を受けるだけ。これが続くと、豊かな国は経済的に豊かだけど傲慢にもなり、貧しい国は辛くなって卑屈に感じるかもしれません。

それなら、それらを全て編みこんでしまうことで、モノは返せないけど、感謝の気持ちで別の形で輪の中に返せる。それで世界をつなぐ輪っかのリースにできればいいなと思っています。

ソーシャルリース

― ソーシャルリースを強く意識したきっかけはありますか?

アメリカから帰国後は、講演やコンサルティング、執筆で全国を飛び回り忙しくしていましたが、7年前に車椅子生活になったことによって、さらに強く思いましたね。健常者の立場では、弱い人を常に守ってあげるという一方向的目線です。

ところが、突然、自分が障がい者になり見る世界が変わったとき「守られてもいいんだ」「助けてもらってもいいんだ」と気づかされました。助けてもらうことをよしとすると、助けてくれた人がみんな嬉しそうな顔します。お互いに、助け合う、協力しあうことが生活を豊かにする。その対等な考え方がソーシャルリースの基盤です。

「助けて」って言うのは、おしゃれなこと。


日本人特有の迷惑をかけたくないという、国民性がありますよね。「助けて」って言いにくい。だけど、助けてと声を出せば、周りは助けてくれるし、社会も変わっていくし、自分も助かる。助ける側と助けられる側が一緒によりよい社会をつくりましょう、となれればと思います。

また、何かをするときは「おしゃれ」が大切なキーワード。さらに、そこに「JOY」(=ウキウキするような楽しさ)があれば状況は大きく変わります。何かいいことをするにしても義務感だけでやってしまうと次第に重くなってしまいますから。

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<インタビュー時に着用されていた”Social Wreath”がプリントされた素敵なマスク>

― 協議会ではフードドライブ(※)を通じたSDGsの取組を広げる活動をしていますが、フードドライブを広げるためのアドバイスはありますか?

世界銀行本部で勤務していた際に体験したのは、何事も活動を呼び掛けるには「What’s in it for me?=それをすることにより自分にとってどのようなメリットがあるか」を明確にしておくことが大事ということでした。

例えば、フードドライブだと、余っている食品を箱に入れることで、不足している人に届ける、のですが、単に何かをしてあげる、ではなく、これをすることで私自身が楽しくなる、と腑に落とすことが必要。つまりここに、「風が吹けば桶屋が儲かる」のような考え方の展開をします。

フードドライブに参加すると、私のキッチンの食材もスッキリ、いい機会に食生活の見直しもできて、またその食品が誰かの笑顔になり、気分がご機嫌になる、という大きなイメージをして呼びかけるのが大事だと思います。

余っている食材を提供することで「分かち合いの喜び」というすごいプレゼントをもらうことができます。モノ(食材)は移動するけど、心が豊かになるとうこと、それを徹底して感じることで、また食材寄付をしようと思うことに繋がります。義務だからやるのではなく、分かち合ったときの喜びをしっかり味わってください。

※フードドライブ:家庭で使いきれない食品を持ち寄り、フードバンク等に寄付することで、食べ物を必要とする方々に届ける助け合いの活動であり、SDGsの達成につながるアクションのひとつです。

― 9年間、高校生サマーセミナーを小田原で行っていたとのことですが、どうやって参加者を募ったんですか?

2005年から2014年まで毎年、主に小田原市にある尊徳記念館で二泊三日の研修を開催しました。対象は全国の現役高校生30名。テーマは「人間力」です。小田原までは各自、自力で来ることが条件。その後の寝食やセミナーは私達スタッフが面倒をみます、というお誘いを私のホームページで告知しました。毎回、全国各地から高校生が申し込んでくれました。

申込書には二つの記載事項を設けていて、一つは「将来の夢を聞かせて?」、もう一つは「自宅から小田原までの交通費はいくらで、その費用はどうやって捻出するの?」、二つ目の回答は色々ありましたね。ある子は、夏休みにパン屋さんでアルバイトしたお金を充てますとか、帰ってきたらセミナーの内容を皆にプレゼンするから交通費を出してほしいと家族に交渉したとか・・・正解はないので、なんでもOKです。

― セミナーではどんなグループの発表がありましたか?

今で言う”SDGs”に関しての話し合いもありました。
例えば、ある子は、家の近くの川にゴミがいっぱい落ちている課題をどう解決するか、どうしたらみんなが楽しくゴミを拾えるかプロジェクトを考えて、発表していました。

子どもたちが中心のごみ拾いのイベントの企画から広報までいろいろなアイディアを出していました。身の回りの世の中の困りごとをどうやって解決したらいいかを半日かけて真剣に話し合って発表していましたね。それはどれもそのまま国連で発表しても良さそうな内容だったのです。

高校生たちの発想の豊かさと、一人ひとりが協力する面白さを実感。彼らには地球をよくするアイデアがいっぱいあるんだなと感動したのを思い出します。9年間、開催できたことは嬉しく未来を創る若者たちに”日本の将来は大丈夫”だと思いました。全国からのひとくちスポンサーの寄付にも感謝です。

HPより<高校生サマーセミナーの様子>


ー サマーセミナーの卒業生のその後はどうですか?

色々な分野で活躍していて、すでに世界に出ていった人達もいます。セミナーでは社会起業家のビデオを見て話し合いましたが、それで進路を変更した人たちもいました。また大学の社会起業家のコースに進んだけど、自分が世の中に伝えたいものは別の方法で、と芸術系大学に入り直して、その後アニメの映画で世界的な大賞を受賞した人もいます。9期合わせて270名の卒業生がそれぞれの特性を生かして、それぞれの場所で輝いているのを耳にするたびに感動します。

ー セミナーを運営する際の決まりごとはありますか?

友人たち15人が結集して運営に当たってくれましたが、私からのお願いはたった1つ、「期間中、禁止とか否定のない安心安全な環境を作りましょう」ということでした。ですから高校生たちは、もし何かピンっとこないことがあると、「なぜか?」「どうにかならないか?」とネゴシエーション(交渉)しにきます。それに対して、私たちも同じ目線で話を聞き、説明し、話し合いを重ねて運営していきました。

何人かが、終了後の感想文に「大人に否定されない空間にいたのは生まれて初めてです」と書いてあって、合宿をやって本当によかったと思いました。

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中野さんからのメッセージ
~フライパンの向こうに世界が見える~

世界はより密接に繋がってきています。
地球儀の反対側で起きていることは、もはや他人事ではありません。
他の人の事も“我が事のように”考えられる
優しい思いやりの気持ちが平和な世界を広げます
朝、フライパンで卵を焼く・・・どこにでもある光景。
そのフライパンの向こうには、今日一日を幸せに穏やかに暮らしたいと願う
世界中の人々の顔があります。
平和な世界は大きすぎるテーマでも、遠い夢でもなく、
自分の目の前から始まるのです。
まずは自分の心を愛でいっぱいにすること、それがすべての始まりです。
“競争”ではなく“共創”する人類の深遠な進化ゲームがもう始まっています。

■ 中野 裕弓
横浜生まれ。神奈川県立外語短大在学中、19歳でロンドンに渡り、その後9年に及ぶ英国生活を経て、東京の外資系銀行、金融機関等に勤務。
1993年、ワシントンD.C.にある世界銀行本部から日本人初の人事マネージャーとしてヘッドハントされ、のちに人事カウンセラーとして5年余り勤務。世界中から集まったスタッフにキャリアや対人関係のアドバイスにあたる。
アメリカから帰国後は、企業人事コンサルティング、カウンセリング、講演、執筆業に従事。
現在は、独自のソーシャル・リース構想(Social Wreath・社会をつなぐ輪)のもと、コミュニティを充実させて、一人ひとりの幸福度をあげる活動をしている。
公式サイト

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