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企業はどんなことを求められているの?

SDGsビギナーへ向けて、SDGsのことをイチからまとめていく連載企画の第3回。今回は「企業とSDGs」をテーマに、企業がSDGsに取り組む意味や、どのようなことを求められているのかをまとめていきたいと思います。

SDGsが掲げる17の目標を達成するためには、すべての国、企業、個人が主体的にアクションを起こしていく必要があります。世の中全体が持続的な社会の実現のためにアクションを起こす必要がある中で、企業が“企業として”SDGsに取り組んでいかなければならない理由とは、どのようなものなのでしょうか?

国連が企業の自発的な取り組みを求めている

SDGsの目標達成において民間企業の存在は、とりわけ重要とされています。SDGsが誕生したことでも知られる、2015年の国連持続可能な開発サミットで採択された「2030アジェンダ」の「実施手段とグローバル・パートナーシップ」のセクションには”企業に求めること”として、次のような記載がされています。

民間企業の活動・投資・イノベーションは、生産性及び包摂的な経済成長と雇用創出を生み出していく上での重要な鍵である。我々は、小企業から共同組合、多国籍企業までを包含する民間セクターの多様性を認める。我々は、こうした民間セクターに対し、持続可能な開発における課題解決のための創造性とイノベーションを発揮することを求める。

「2030アジェンダ」第67条より

要約すると、国連は企業に「すべての企業に、本業で創造性とイノベーションをもって持続的発展のため、自発的に課題を解決してほしい」と求めているということになります。イノベーションというと、なんだか難しい印象を受けるかもしれませんが、ここで言うイノベーションとは、「これまで当たり前だったものに疑問を抱き、新しい常識・価値をつくる」ということ。つまり、企業が、本業を通じて持続可能な未来のためにできること(解決策や技術の開発)を行動として示せば、イノベーションを発揮したということになるのです。

日本政府も企業のSDGsを後押ししている

また、同様に日本政府も企業にSDGsの推進を期待しています。
SDGsへの取り組みを促進するため日本政府は、2016年5月に「SDGs推進本部」を新設。その後、日本ならではの取り組みの指針をまとめた「SDGs実施指針」や、その具体的な施策をまとめた「SDGsアクションプラン」などを定めています。

SDGs実施指針は、日本全体としての指針を示すと同時に、「民間企業がイノベーションを生み出すための支援や環境整備に取り組む」ことや「環境づくりに向けた政府の施策を進める」こと、「日本政府が民間企業の取り組みを後押しする」ことなどが記されたもの。日本政府がバックアップすることで、企業が持続可能な開発における課題解決のための創造性とイノベーションを発揮することに大きな期待を寄せていることがわかります。

企業はこれまでもCSR(企業の社会的責任)の観点から社会貢献活動を行なっていましたが、CSRはそれぞれの倫理的観点から、それぞれが設定した責任(ゴール)を果たすための行動を自主的に行うもので、必ずしも本業を通したものではありませんでした。しかし「2030アジェンダ」で企業に対して「持続可能な未来のために、本業を通じて社会的課題の解決に取り組んでほしい」ということが明文化されたことによって、企業は明確なゴールへ向けて歩み出すことになったのです。

SDGsは企業にとってもよいもの

企業の取り組みは年々活発になっており、皆さんも各企業のコーポレートサイトなどで、自社の取り組みを紹介しているケースを目にすることが多くなったと思います。
企業にSDGsが広まってきたのには、国連や政府からの要請や後押しがあること以外にも、社会の課題への対応を実践することで、企業価値の向上や新たな事業機会の創出といった、企業にプラスの要素をもたらすものであるためとされています。

グローバル・レポーティング・イニシアチブ(GRI)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)というSDGsの取り組みを主導する3者によって策定されたSDGsの企業行動指針である「SDG Compass」には、企業がSDGsに取り組む代表的なメリットとして次の5つを挙げています。

■将来のビジネスチャンスの見極め
SDGsは、地球規模の公的ないしは民間の投資の流れを、SDGsが代表する課題の方向に転換することを狙いとしている。そうすることにより、革新的なソリューションや抜本的な変革を進めていくことのできる企業のために、成長する市場を明確にしている。

■企業の持続可能性に関わる価値の向上
企業の持続可能性のための理論的根拠はすでに十分に確立されているが、(環境コストなどの)外部性が益々内部化されるに伴い、SDGsは、たとえば、企業が資源をさらに効率的に利用し、あるいは、より持続可能な代替策に転換するような、経済的なインセンティブを強化する。

■ステークホルダーとの関係の強化、新たな政策展開との同調
SDGsは、国際、国家、地域レベルで、ステークホルダーの期待と将来の政策の方向性を反映している。SDGsと経営上の優先課題を統合させる企業は、顧客、従業員その他のステークホルダーとの協働を強化できる一方、統合させない企業は、法的あるいはレピュテーションに関するリスクに益々さらされるようになる。

■社会と市場の安定化
社会が機能しなければ、企業は成功できない。SDGsの達成に投資することは、ルールに基づく市場、透明な金融システム、腐敗がなく、良くガバナンスされた組織など、ビジネスの成功に必要な柱を支援することになる。

■共通言語の使用と目的の共有
SDGsは、共通の行動や言語の枠組みを提供することにより、企業が、その影響やパフォーマンスについて、より一貫して、そして、より効果的に、ステークホルダーと意見交換を行うことを支援する。SDGsは、世界の最も緊急な社会的課題に取り組むために相互に協力できるパートナーを結びつける。

「SDG Compass」より

上記の5つを簡単にまとめると、企業にとってSDGsは「経営のリスクを回避するとともに、新たなビジネスチャンスを創出するツール」であり、「企業価値が向上し、⻑期的な視点で社会のニーズを重視した経営と事業展開が可能になるツール」ということになります。

企業が経営を継続し、より発展していくためには、現在から未来にわたる社会の課題やニーズをキャッチし、それらを重視した経営戦略を立てる必要があります。そのときに、行動指針となるのが、現在から未来にわたるあらゆる分野の社会課題と⻑期的視点のニーズがつまったSDGsなのです。

つまり、企業にとってのSDGsは、現在〜未来における企業経営の道しるべのようなもの。そう考えると、企業がSDGsに取り組む意味は、私たちが思っている以上に大きいのかもしれませんね。

企業がSDGsに取り組む際の5つのステップ

では、実際に企業がSDGsに取り組む際には、どのような点に注意して、どう進めていけば良いのでしょうか。

まず参考にしたいのが、企業がどのようにSDGsを経営戦略と整合させ、SDGsへの貢献を測定し管理していくかに関しての指針を提供すしている「SDG Compass」の内容です。「SDG Compass」では、 企業がSDGsに最大限貢献できるように、企業がSDGsに取り組む際の5つのステップを提示しています。

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画像「SDG Compass」より転用

■SDG Compass 5つのステップ
Step1.
SDGsを理解する
Step2.優先課題を決定する
Step3.目標を設定する
Step4.経営へ統合する
Step5.報告とコミュニケーションを行う
※STEP5の次はSTEP2に戻りSTEP2〜5のサイクルを回していく

この5つのステップは、「すべての企業が、関連する法令を遵守し、最小限の国際標準を尊重し、優先課題として、基本的人権の侵害に対処する責任を認識していること」を前提としているもの。 「大きな多国籍企業に焦点をおいて開発された」ものですが、同時に「中小企業、その他の組織も、新たな発想の基礎として、必要に応じて変更して、この指針を使用することが期待される。指針は、企業レベルで使用されるものとして作成されているが、必要に応じ、個々の製品や拠点、部門レベル、さらには特定の地域レベルにおいても適用できる」とも記されており、どんな企業であってもこの5ステップをベースにすれば、SDGsへの取り組みを前進させることはできそうです。

また、企業がSDGsに取り組む際に注意したいのが、その取り組みが「SDGsウォッシュ」と捉えられないようにすることです。
「SDGsウォッシュ」とは、SDGsに取り組んでいるように見えて、実態が伴っていないビジネスになってしまっていることを指す言葉。消費者やステークホルダーとの信頼関係を損なってしまう恐れがあるSDGsウォッシュは、企業ならば避けなければならないことと言えます。
SDGsウォッシュを避けるためには、真摯な取り組みを徹底する他、取り組みの広報をする際に、根拠や情報源が不明な情報、誇張表現、あいまいな表現、事実と関係性の低いビジュアルを避けるなどの配慮が必要となります。

まとめ

大企業を中心に年々、SDGsに取り組む企業が増えてきてはいるものの、まだまだそれが“当たり前”という状況にはなっていません(個人のSDGsにも言えることですが…)。

企業がSDGsに取り組むことは、社会への貢献という側面だけではなく、自社の経営を未来につなげていくという面でもとても重要なことです。もし、まだやっていない、これから本格的に取り組んでいくという企業であれば、まずはSDGsを理解して、どの課題であれば自社の事業内容が活かせるかを考えることから始めてみるのと良いかもしれません。目標を設定して、経営に統合していけば、SDGsの取り組みの活動を活発化、定着化させることができるはずです。

編集部では、今後もSDGsの具体的な取り組みや、アクションのヒントなど、さまざまな情報をご紹介していく予定です。皆さんも何か広めたい活動や情報などがありましたら、編集部までご一報ください。一緒に日本のSDGsを盛り上げていきましょう!

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