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U-30の起業家たちが語るSDGsとアクションのリアル

「ジャパンSDGsアクション キックオフ 記者発表会&トークセッション」のレポート第3弾。最終回となる今回は「U-30に聞く、SDGsアクションのリアルな現場」と題し、ビジネス領域でSDGsアクションを体現する30歳以下の若手起業家が「現場の声」を伝えたトークセッション後半のレポートです。

■トークセッション後半登壇者
川越一磨(株式会社コークッキング代表取締役CEO)
前田瑶介(WOTA株式会社代表取締役CEO)
結城明姫(株式会社オリィ研究所共同創設者COO)※モニター出演
根本かおる(国連広報センター所長)
【MC】
櫻田彩子(エコアナウンサー)

※第1弾(記者発表会)のレポートはこちらからご覧ください。
※第2弾(トークセッション前半)のレポートはこちらからご覧ください。

以下では、記者発表会の動画をご覧いただけます。

U-30起業家たちのSDGsにつながる事業

エコアナウンサーの櫻田彩子さんがMC、国連広報センターの根本かおる所長がコメンテーターという布陣で、ビジネスを通してSDGsに直結する社会課題の解決に取り組む若手起業家3名がトークセッションを行なった後半戦。まずは、登壇者3名が手がける事業が紹介され、それぞれが事業のビジョンと、SDGsアクションとのつながりを語っていきました。

最初に紹介されたのは、「フードロスの削減」に取り組む株式会社コークッキングの川越一磨さん。同社が提供する「TABETE」は、飲食店が余った料理をWEB上に掲載すると、食べたい人がお店に受け取りに来るマッチングサービスで、自宅でおいしい食事をリーズナブルに楽しみながら、食料廃棄の削減に貢献できるのが特長です。

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川越一磨(株式会社コークッキング)

川越さん
「これまでパン屋さんや惣菜屋さんで、閉店間際に安売りになった食品を買うことに対して、消費者は多少の抵抗感を抱いていました。しかし、本来それはフードロスを減らす素晴らしいアクションなんです。私たちはそれを『レスキュー』という言葉で表現し、食べ物を救い出すという魅力的な体験に置き換えることで、ユーザーに新たな価値を提供しています」

続いて紹介されたのは、「水と衛生」をテーマに事業を展開するWOTA株式会社の前田瑶介さん。同社が手がける、水道がなくても水を利用できる手洗いスタンド「WOSH」は、浄水機能を備えており、電源と20リットル程度の水があればどこでも手洗いができる製品。スマートフォンのUV除菌機能も備えるなど、先端技術も搭載されています。

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前田瑶介(WOTA株式会社代表取締役CEO)

前田さん
「私たちが目指すのは、衛生のための水のない環境でも確保できる新しいインフラをつくることです。WOSHは持ち運べる浄水場をイメージして開発しました。被災地の避難所などで活用されており、今後は途上国で普及させたいと考えています」

続いて紹介されたのは、「テクノロジーで人々の社会参加を妨げている課題を克服する」取り組みを行う株式会社オリィ研究所の結城明姫さん。代表的なプロダクトの一つである「OriHime」は、インターネットを通して遠隔操作ができる分身ロボットで、カメラ・マイク・スピーカーが搭載されているため、あたかも「その人がその場にいる」ようなコミュニケーションが実現できる点が最大の特徴です。
今回のトークセッションは、遠隔地から結城さんが話し、会場のOriHimeがコミュニケーションをとる、という形で臨んでいます。

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結城さんの代わりに登壇した分身ロボット「OriHime」

結城さん
「人類の孤独を解消するために、コミュニケーションテクノロジーを用いたさまざまなサービスを開発・提供しています。OriHimeのような分身ロボットで、ALS(筋萎縮性側索硬化症)など体を動かすことができない人がコミュニケーションをとれたり、入院で学校に通えない子どもが教室の自席に置いて授業に参加できたり、寝たきりで働けない方がカフェでウェイトレスができたりといった、さまざまな人々の社会参加を妨げている課題を克服することを目指しています」

3名の先進的な事業について説明を受けた国連広報センターの根本所長は、「それぞれの活動がSDGsアクションとして、稀有なもの」とコメント。

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根本かおる(国連広報センター所長)

根本所長
「食品ロス削減、水不足の解消、障がい者のクオリティ・オブ・ライフの向上は、数字的に見ても深刻な課題で、世界的に注目されるべき領域です。そういった面でも、皆さんの挑戦は、素晴らしい挑戦だと感じています。今後、より必要になるはずですので、今後も挑戦を続けていっていただきたいです」

自身の体験がSDGsアクションのきっかけにつながる

MCの櫻田さんが「そもそも、なぜ社会課題を解決する事業に挑戦したのか?」と質問すると、3人は“行動のきっかけ”を語ってくれました。

川越さん
「もともと飲食店で働いていて、まだ食べられる食べ物を誰よりも捨てていたんです。最初は罪悪感を抱いていたのですが、慣れることで、その罪悪感が薄れていっていることに気がつきました。それではいけないと感じて、ヨーロッパと比べてフードロス削減が遅れている日本で、何かできることはないかと模索してたどり着いたのがTABETEです。怒りや悲しみ、そうした原体験があるから、これまで事業を続けられたのだと思います」
前田さん
「上京した翌日に東日本大震災が発生し、水が使えなくなって、高度に発達した都市インフラが停止する脆さ、誰も解決できない複雑なシステムに対して違和感を覚えたことがきっかけです。それから頻発する災害のなかで避難所の環境改善に貢献できないかと考え、少しずつ事業を進めていきました。
中世フランスで、ペストが流行したことがきっかけとなり下水道が整備されたそうなのですが、危機的な状況では“水のスタンダード”に変革が起こるんです」

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結城さんの代役、OriHimeはアイコンタクトもバッチリ

結城さん
「子供の頃から科学が大好きで、16歳の時に科学コンテストに入賞し、アメリカで発表するチャンスをいただきました。しかしその途端に結核を患って、隔離病棟に入院することになってしまったんです。症状が軽くなっても外出はできない。もどかしさを感じながら『自分がもう一人いれば、発表もできたのに』と考えていました。そんな時、『分身』というコンセプトでロボットを開発していたエンジニアと出会い、その考えに強く共感して『プロジェクト化しよう!』と誘ったんです。それから分身ロボットを病院の子どもに使ってもらうなど、活動を徐々に進め、事業化しました」

その後3人は、「コロナショック以降で感じた社会の変化」について、社会的課題の解決を事業とする者として、最前線の現場で感じたことを語り合いました。

川越さん
「自粛期間中、飲食店では、デリバリーやテイクアウトなど新たなサービスを導入する動きが活発化しました。そうした中でデジタルトランスフォーメーションが進んだのは事実ですが、一番強かったのは、リアルな『人のつながり』を持っていたお店でした。理由は簡単で、ファンがお店を応援してくれたから。今後も社会は大きく変化していくでしょうが、その変化に負けない強いライフラインを保つことが重要で、それができるのは、結局はコミュニティなのかもしれないなと感じました」
前田さん
「先日鎌倉市で、お寺や飲食店に入る前に手洗いができる仕組みを取り入れる活動をしたところ、大きな反響がありました。何かをしたり、どこかに入る前に手を洗うことが当たり前になる。間違いなく、そんな新しい衛生習慣が生まれていくと感じています」
結城さん
「新型コロナウイルスによって、企業ではテレワーク化が進みましたが、全員がそれを導入するのは無理。今後は出社とテレワークのハイブリットになるはずです。コミュニケーション不足の解消や評価制度の公平化など、企業もあらゆる環境で働く人の生産性について考えていくはずで、それは多様な働き方を認めることにもつながります。働く場所に左右されない社会ができれば、体の動かない人も仕事をしやすくなるかもしれません」

それぞれの意見を聞いた根本さんは、改めて3名の行動力や思考力の高さへ賛辞を送り、彼らと同世代の若者たちへ期待していることを述べました。

根本所長
「SDGsの良いところは、それぞれの取り組みを世界中の人々でシェアできることにあります。withコロナの時代では、発信は特に重要。来年3月に予定している国連が提供するグローバルアクションイベントでは、情報を発信する機会をたくさん設けるつもりなので、ぜひ若い方々に参加していただきたいですね」

トークセッションの最後の質問は、「すべての人がSDGsに関わるために必要なことは?」というもの。時間の関係で、簡潔な回答を求められることになってしまったものの、それぞれが個性あふれる回答を披露しました。

川越さん
「誰かが損をするような事業や活動は淘汰されていくはずなので、まずは全員が幸せになる仕組みが主流になっていることが必要だと思います」
前田さん
「人口が増えても地球上の資源は増えないので、使う効率を高めていくことが必要。一人ひとりが社会全体のことに想像を働かせて、それを行えれるとベストです」
結城さん
「やっている人の熱意を他人に伝えることが大事。自分が思っている以上に共感してもらえることは多いので、活動のモチベーションにもつながるはずです」

これを受け、根本所長が「楽しみながらコツコツやれば、 SDGsも成功するはず」とまとめ、トークセッションは終了しました。

取材を通して編集部が感じたこと

改めて感じたのは、「個人が持つ発想力とエネルギー」がSDGsには欠かせないということです。
その力をビジネスに変え、すでにSDGsアクションを進めていた3名の考えは、とても刺激的なものでした。本格始動し、これからあらゆる取り組みに挑んでいくジャパンSDGsアクションに、より多くの若い方々に参加していただくためにも、私たちは、この「10年後の未来をつくるノート」で良い記事の発信を続けていきたいと思います。

※第1弾(記者発表会)のレポートはこちらからご覧ください。
※第2弾(トークセッション前半)のレポートはこちらからご覧ください。

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